診断のポイント
【1】特徴的な身体所見で疑い,外因性グルココルチコイド投与による医原性Cushing症候群を問診にてまず除外する。
【2】スクリーニング検査:24時間尿中遊離コルチゾール(UFC)高値が2回以上,夜間血清コルチゾール(F)濃度≧5μg/dL,デキサメタゾン(Dex)1mg抑制試験後のF≧5μg/dLのいずれか2つがスクリーニング陽性。
【3】病型診断のための検査:血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)濃度が測定感度以下であれば副腎性Cushing症候群,測定可能であればACTH依存性Cushing症候群。
【4】CT,MRI:副腎性Cushing症候群ではCT,MRIで副腎腫瘍を確認する。
緊急対応の判断基準
【1】F≧30μg/dLの場合
❶急性心不全,感染症に留意する。
❷メチラポン(メトピロン®)でFの低下療法も考慮すべき場合がある。
症候の診かた
【1】特徴的な身体所見(Cushing徴候):満月様顔貌,中心性肥満,赤色皮膚線条,水牛様脂肪沈着(図1図),皮膚の菲薄化,皮下出血斑,近位筋の筋萎縮や筋力低下などがある。女性での男性化徴候があれば副腎癌も考慮に入れる。
【2】非特異的身体所見:下肢を中心とする浮腫,高血圧,耐糖能障害や糖尿病,65歳未満での骨粗鬆症,爪白癬,うつなどの精神症状,蜂窩織炎や尿路感染症などの易感染性,尿路結石などがある。
検査所見とその読みかた
【1】一般検査所見:好中球を中心とした顆粒球の増加とリンパ球・好酸球の減少,赤血球・血小板の増加,コルチゾールのミネラルコルチコイド作用による低カリウム血症,耐糖能障害,高コレステロール血症などがある。
【2】副腎性Cushing症候群の内分泌学的検査所見:UFC高値が2回以上,随時のF高値,Fの日内変動の欠如(夜間のF≧5μg/dL)し,Dex1mg抑制試験後のF≧5μg/dLを示す。早朝ACTHは低値(<10μ
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