先天性アミノ酸代謝異常症は,新生児マススクリーニングの対象となっている疾患や,これまでほとんど報告がない疾患など,40種類以上の疾患が含まれる。アミノ酸の代謝経路の遺伝的障害のために,アミノ酸やその代謝物質が過剰に蓄積,または不足することによって発症する。
診断のポイント
【1】確定診断のためには,それぞれの疾患に特徴的な症状の有無に加え,臨床検査や酵素活性,遺伝学的検査などを駆使する必要がある。
【2】表1図に主なアミノ酸代謝異常症を示す。
【3】多くは新生児スクリーニングによって発見されるが,新生児期に発見が難しい疾患や新生児スクリーニングの対象外となっている疾患も多く存在する。
【4】先天性アミノ酸代謝異常症を疑った場合には,早期に専門医師に相談することが望ましい。日本先天代謝異常学会ホームページの精密検査施設一覧(http://jsimd.net/iof.html▶)が参考となる。
症候の診かた
【1】臨床症状は,蓄積するアミノ酸やその代謝産物などによって多彩である。
【2】ホモシスチン尿症における水晶体亜脱臼,アルカプトン尿症における尿の褐色変化,リジン尿性蛋白不耐症やシトリン欠損症における食癖など,特徴的な症状を示す疾患も一部知られている。
【3】しかし多くの場合,何となく元気がない,意識障害,けいれん,肝障害,筋緊張低下など,非特異的な症状から本症を疑うことになる。
【4】ほぼすべての疾患は常染色体劣性遺伝形式であるが,オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC欠損症)はX連鎖性遺伝形式であり,家族歴における乳幼児期死亡が手がかりになることがある。
検査所見とその読みかた
【1】ファーストラインの検査:上記の非特異的症状から先天代謝異常症を疑った場合には,血糖,血液ガス,血中アンモニア,乳酸,ピルビン酸,血中・尿中ケトン体などの検査がファーストラインの検査として有用である。
【2】確定
関連リンク
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