診断のポイント
【1】手指を中心とする関節腫脹。
【2】血清学的にリウマトイド因子(RF),抗シトルリン化ペプチド抗CCP)抗体陽性。
【3】関節X線における骨びらん。
【4】発症早期の診断は容易ではない。
緊急対応の判断基準
以下の場合は専門施設に移送する。
【1】著しい関節炎のため日常生活が困難な場合。
【2】間質性肺炎,皮膚潰瘍,発熱などの全身症状を認める場合。
【3】治療中に重篤感染症などの合併症をきたした場合。
症候の診かた
【1】関節炎が最も重要な症候で,身体所見では関節腫脹,圧痛,時に発赤として観察される。
【2】全身の関節に生じうるが,環軸関節を除く脊椎,仙腸関節に生じることはほぼない。
【3】関節腫脹は紡錘状で弾性のある腫脹として触れる。
【4】疾患活動性が高い場合には関節伸側の皮下にリウマトイド結節をきたすことがある。
【5】長期罹患例では,スワンネック変形,ボタンホール変形,尺側偏位などの特徴的な変形を生じる。
検査所見とその読みかた
【1】リウマトイド因子:IgM-Fcに対する自己抗体であり,多数の測定法があるが,最近ではRF定量法がよく用いられる。関節リウマチ(RA)全体では約80%が陽性になるが,健常人でも5%程度に,他の膠原病でもしばしば検出されることから,RAの診断を確定するものではない。RF高値陽性例は,RF陰性例と比較して関節破壊進行が早く,関節外症状出現のリスクも高いとされている。
【2】抗CCP抗体:RA早期から50~70%で陽性となり,特異度も約90%と高い。発症前から陽性となることが知られ,また陽性例は関節破壊進行が早いことから,予後不良因子とされている。
【3】マトリックスプロテアーゼ-3(MMP-3):線維芽細胞や滑膜細胞から分泌される蛋白分解酵素で,RA患者の血清MMP-3濃度は増殖滑膜量を反映し,高いほど関節破壊進行が速いとされる。他疾患やステロイド治療など
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