診療支援
診断

Felty症候群
††
Felty's Syndrome
南木 敏宏
(東邦大学教授・内科学講座膠原病学分野(医療センター大森病院))

診断のポイント

【1】関節リウマチ,好中球減少,脾腫が3徴。

【2】関節リウマチの罹病期間が長い,骨破壊が進行,関節外症状をきたしている例が多い。

緊急対応の判断基準

 好中球減少により感染症を発症している場合には,抗菌薬の投与など適切な対応が必要となる。

症候の診かた

【1】関節リウマチ

❶関節リウマチによる多関節炎(関節腫脹,圧痛)がみられる。

❷罹病期間が長い場合は,関節破壊,変形がみられる。

❸関節外病変として,リウマトイド結節や,血管炎などを認めることもある。

【2】好中球減少

❶好中球減少により,気道,皮膚の細菌感染を合併することが多い。

❷感染症の合併がなければ無症状である。

【3】脾腫:症状は呈さない。

検査所見とその読みかた

【1】好中球減少

❶末梢血中の好中球減少がみられる。

❷好中球数が500/μL以下になる場合には感染症に特に注意が必要である。

【2】リウマトイド因子,抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体

❶関節リウマチ患者であり,リウマトイド因子,抗CCP抗体がみられることが多い。

❷関節リウマチの活動性が高い場合には,赤沈の亢進,CRP陽性を認める。

【3】大型顆粒リンパ球(large granular lymphocyte:LGL):約30%の患者にLGLの出現がみられる。

【4】脾腫:腹部エコー,CTにて脾腫がみられる。

確定診断の決め手

 関節リウマチ患者に,好中球減少,脾腫を認める。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】全身性エリテマトーデス()

❶抗核抗体,抗二本鎖DNA抗体。

❷全身性エリテマトーデスにみられる他の全身臓器病変。

【2】他の膠原病:各膠原病にみられる特徴的な臓器病変。

【3】薬剤性:関節リウマチ()に用いられている薬剤によるもの。

【4】血液疾患:LGL白血病骨髄異形成症候群()などの血液疾患も鑑別診断に挙がる。

【5】感染症:結核()などの感染症の鑑別も必要となる。

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