診断のポイント
【1】唾液腺・涙腺,膵臓,胆管,腎臓,肺,後腹膜などの臓器の腫大や結節・肥厚性病変を形成する全身性疾患(図1図)。
【2】血清IgG4値が高値(135mg/dL以上)である。
【3】病理学的にはIgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化がある。
【4】好発年齢は60歳前後であり,男性に多い。唾液腺・涙腺病変に関しては,女性が優位である。
【5】診断はIgG4RD包括基準(表1図)による。満たさない際には,各臓器別に分化した診断基準(自己免疫性膵炎,IgG4関連硬化性胆管炎,IgG4関連涙腺・眼窩および唾液腺病変,IgG4関連腎臓病)〔表2図,表3図,表4図,自己免疫性膵炎の診断基準は「自己免疫性膵炎」項(→)の表1図を参照〕が設けられている。
症候の診かた
【1】全身の病変が認められる場合と単一臓器病変に限局する場合がある。
【2】罹患臓器として,唾液腺・涙腺,膵臓,胆管,腎臓,肺,後腹膜,中枢神経系,甲状腺,肝臓,消化管,前立腺,動脈,リンパ節,皮膚,乳腺などが知られている。理学的所見並びにCT画像,MRI画像も含め全身検査が必要である。
【3】容貌の変化:IgG4関連涙腺・眼窩および唾液腺病変がある場合,耳下腺・顎下腺腫脹や涙腺腫大が生じる。
【4】黄疸:IgG4関連硬化性胆管炎の場合,認められる。
【5】腹痛・背部痛:自己免疫性膵炎の場合,腹痛や背部痛が起こる。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査:血清IgG4が高値(135mg/dL以上)である。また,血清IgGおよびIgE値が高く,血清補体値が低いことがある。一方,抗核抗体,リウマトイド因子,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体などの自己抗体の検出頻度はきわめて低い。
【2】画像検査
❶IgG4関連涙腺・眼窩および唾液腺病変:MRIやCTでは,罹患臓器のびまん性あるいは限局性の腫大を認める(図2図)。
❷自己免疫性膵炎:造影CTやMRIにお
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