診断のポイント
【1】感染診断には内視鏡を用いる方法(迅速ウレアーゼ試験,鏡検法,培養法)と用いない方法(血中抗体測定法,尿中抗体測定法,尿素呼気試験,便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定法)がある。
【2】除菌治療を行う場合は,感染診断の前に内視鏡検査(おおむね6か月以内)が必須である。
【3】1回目の検査が陰性の症例では,機序の異なる検査を追加し,複数の検査法を用いることによりその感度は向上する。
【4】除菌治療後のヘリコバクター・ピロリ(以下,ピロリ菌)感染の診断には感度と特異度の高さから,尿素呼気試験が最も推奨される。
症候の診かた
【1】もたれ・痛みなどの上腹部症状の原因がヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(ピロリ感染胃炎)である症例は,約10%とされている。
【2】ピロリ菌の感染率は年齢ともに上昇する。
【3】ピロリ菌の感染経路はいまだ明らかとなっていないが,家族間での感染が高頻度とされる。家族にピロリ菌感染者がいたことや,消化性潰瘍,胃癌の家族歴があることはピロリ菌感染を疑わせるものとなる。
検査所見とその読みかた
【1】胃内視鏡検査にて慢性胃炎を認める場合,ピロリ菌感染を強く疑う。
【2】特に胃体部萎縮性胃炎,前庭部腸上皮化生(化生性胃炎),皺襞肥大型胃炎,鳥肌胃炎は胃癌のリスク群として重要である。
【3】胃炎の京都分類を用い,内視鏡所見からピロリ菌感染を疑うことができる。
【4】過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍,胃癌の既往がある場合,ピロリ菌感染を強く疑う。
確定診断の決め手
【1】内視鏡検査にてピロリ感染胃炎を疑い,ピロリ菌の各種診断法にて陽性所見があれば,ピロリ菌感染症と確定診断ができる。
【2】感染診断によく用いられるのは,内視鏡的方法としては迅速ウレアーゼ試験,内視鏡を用いない方法としては血清抗体法が汎用されている。
【3】除菌判定には尿素呼気試験が推奨される。
【4】近年,抗体法のカットオフ値
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