診療支援
診断

風疹(先天性風疹症候群含む)
Rubella 〔Including Congenital Rubella Syndrome (CRS)〕
大石 智洋
(川崎医科大学准教授・小児科学教室)

診断のポイント

【1】風疹

❶典型的な症状は,発疹,リンパ節腫脹,発熱であるが,これら3つの症状がそろわない例も少なくない。

❷疑った場合は,血清抗体による診断を行う(強く疑う場合は各都道府県衛生研究所に相談する)。

【2】先天性風疹症候群(CRS)

❶風疹の罹患がある,または疑われる妊婦から出生した児で,白内障または先天性緑内障,先天性心疾患,難聴などがみられる。

❷血清抗体および(各都道府県衛生研究所に相談し)ウイルスのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法など行う。

症候の診かた

【1】風疹:感染症法に基づく医師および獣医師の届出基準では,全身性の小紅斑や紅色丘疹,リンパ節腫脹,発熱が3主徴となっている。

❶発疹

顔面から始まり,その後全身に広がっていくことが多い。麻疹と比較して,癒合傾向は少なく,色素沈着はほとんどない。

発疹出現前に,口腔内にForchheimer斑という点状紅斑・紫斑がみられることがある。

発疹の持続期間は約3日間である。

❷リンパ節腫脹

発疹が出現する約1週間前から,耳介後部・後頸部・後頭部などのリンパ節腫脹をきたすことが多い。

リンパ節腫脹は数週間持続する。

❸発熱:発熱は特に年少児では軽度のことがあり,発疹が唯一の症状であるということも少なくないので注意が必要である。

【2】CRS

❶感染症法に基づく医師および獣医師の届出基準では,1)白内障または先天性緑内障,先天性心疾患,難聴,色素性網膜症,2)紫斑,脾腫,小頭症,精神発達遅滞,髄膜脳炎,X線透過性の骨病変,生後24時間以内に出現した黄疸が挙げられており,これらの症候に留意する。

❷特に,難聴の頻度が高く,軽症例では難聴のみのこともある。

❸出産時に上記の症状がない症例もあることにも注意が必要である。

検査所見とその読みかた

【1】風疹:感染症法に基づく医師および獣医師の届出基準では,必要な病原体診断として,ウイルス分離同定,

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