診療支援
診断

ジフテリア
††
Diphtheria
宮良 高維
(神戸大学医学部附属病院感染制御部・特命教授)

診断のポイント

【1】重症例では,stridor(吸気時喘鳴)を伴う呼吸困難を呈する。

【2】咽頭,喉頭に灰白色の剝離しにくい偽膜を認め,剝離しようとすると出血する。

【3】わが国を含め,先進国での発症例はまれである。

【4】毒素による心筋炎発症例の死亡率は高い

緊急対応の判断基準

【1】ジフテリアに限らずstridorは上気道狭窄による窒息の徴候を示す所見であり,気管挿管または気管切開の検討が必要な病態である。

【2】心筋炎,これに伴う循環不全などもジフテリア抗毒素血清の投与を急ぐ所見である。

症候の診かた

【1】症状:以下❶に加え❷の1項目以上が該当する場合は,【2】の病歴を確認する。

❶偽膜形成を伴う咽頭炎,喉頭炎,扁桃炎,気管炎のそれぞれ単独あるいは重複。

stridorbull-neck(頸部腫脹),循環不全,急性腎不全,粘膜下あるいは皮下の溢血斑,心筋炎,死亡。

【2】病歴

❶本症の潜伏期間は,

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