診断のポイント
【1】ヒトを宿主とするトリコモナス属の唯一の病原性原虫である腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)による感染症である。
【2】無症候性感染が多いが,特効薬のニトロイミダゾール系薬剤が著効するため積極的な診断治療による感染コントロールが望まれる。
【3】混合感染が少なくないため,腟トリコモナスが検出された場合には,他の性感染症についても網羅的に評価すべきである。
【4】腟および尿道分泌物,尿沈渣を検査材料とした直接法による顕微鏡検査では,運動性の栄養型を検出でき,また塗抹染色標本の顕微鏡検査では形態的特徴による種鑑別が可能である。
【5】検査用培地が各種販売されており,日数はかかるが検体の顕微鏡検査では検出できない低レベル感染を培養検査により検出できる。
症候の診かた
【1】感染経路:腟トリコモナスはその生活環において2分裂によって増殖する栄養型のみの形態をとり,環境