診療支援
診断

循環器用薬中毒
Poisoning due to Cardiovascular Drugs
辻 友篤
(東海大学講師・外科学系救命救急医学)

 循環器作動薬は,高血圧や不整脈のほか多くの疾患に対する治療目的に処方されている。ここでは循環作動薬のなかで特に頻度の高いβ遮断薬中毒とカルシウム拮抗薬中毒について述べる。

[Ⅰ]β遮断薬中毒

診断のポイント

【1】高血圧や不整脈,心不全の既往。

【2】内服歴や過量内服を示唆する所見(薬包など)がある。

【3】低血圧や徐脈。

【4】せん妄,昏睡,けいれんの出現。

【5】低血糖,気管支喘息の出現。

緊急対応の判断基準

 ショックや不整脈を伴う重症例であれば,高度医療機関への搬送を考慮する。

症候の診かた

【1】非徐放薬の過量内服では,服用後2時間以内,長くても6時間以内に症状が出現する。

【2】徐放薬の過量内服では,服用後24時間経過し症状が出現することがある。

【3】心収縮力の低下によりショックをきたす。

【4】意識障害やけいれんは低血圧に伴う中枢神経の虚血により起こると考えられている。

【5】β受容体遮断作用によ

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