診断のポイント
【1】一酸化炭素(CO)に曝露された可能性がある意識障害患者では本中毒を疑う。
【2】火災現場や排ガスで亡くなる原因として,酸素欠乏よりもCO中毒が多い。
【3】急性CO中毒では,数日~数週間後に認知機能障害(高次脳機能障害)を合併することがある。
【4】CO中毒に伴う遅発性脳症(delayed encephalopathy:DE)の診断にはMRIが有用である。
緊急対応の判断基準
【1】バイタルサインの異常や高度意識障害は重症と判断する。
【2】心機能障害(心筋虚血)による低拍出症候群,代謝性アシドーシス,乳酸値上昇があれば重症と判断する。
症候の診かた
【1】組織の低酸素による症状
❶一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb)による末梢組織での酸素の解離が阻害された結果,組織の低酸素が引き起こされる(表1図)。
❷組織酸素需要が多い臓器が障害を受けやすい(中枢神経系が最も障害を受けやすい)。
【2】