[Ⅰ]骨粗鬆症
診断のポイント
原発性骨粗鬆症の診断のポイントについて述べる。
【1】脆弱性骨折:立った姿勢からの転倒かそれ以下の外力による骨折。
【2】脆弱性椎体骨折あり。
【3】脆弱性大腿骨近位部骨折あり。
【4】椎体・大腿骨近位部以外の脆弱性骨折例では骨密度を測定する。
【5】脆弱性骨折の既往がなければ,とりあえず骨密度を測定する。
緊急対応の判断基準
【1】遅発性麻痺を伴った椎体骨折。
【2】新鮮脆弱性骨折。
症候の診かた
【1】急性腰痛:新鮮椎体骨折の可能性あり。
【2】慢性腰痛:既存椎体骨折が影響している可能性あり。
【3】身長低下・円背:椎体骨折が存在する可能性あり。
【4】転倒後の疼痛:当該部位を骨折している可能性あり。
【5】無症状
❶椎体骨折の3分の2は無症状。
❷骨折の既往がない骨粗鬆症のほとんどは無症状。
検査所見とその読みかた
【1】骨密度
❶原則として腰椎または大腿骨近位部を測定する。
❷複数部位で測定した場合にはより低い%値またはSD値を採用する。
❸腰椎においてはL1~L4またはL2~L4を基準値とする。
❹ただし,高齢者において,椎体変形などのために腰椎骨密度の測定が困難な場合には大腿骨近位部骨密度とする。
❺大腿骨近位部骨密度には頸部またはtotal hip(total proximal femur)を用いる。
❻これらの測定が困難な場合は,橈骨,第二中手骨の骨密度とするが,その場合は%のみ使用する。
【2】血液検査:原発性骨粗鬆症の場合,血清カルシウムとリンは基準範囲内であり,アルカリホスファターゼは基準範囲内あるいは基準値の1.5倍以内を示す。
【3】X線検査
❶新鮮骨折の診断には必須の検査である。
❷仰臥位のみの椎体側面像で新鮮骨折か否か診断できない場合,坐位(あるいは前屈位)の側面像と比較することで診断可能になる場合がある。
❸椎体骨折の3分の2は無症状であるため,無症候性の骨粗鬆症を見逃
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