診療支援
診断

腰部脊柱管狭窄症
Lumbar Spinal Stenosis
大鳥 精司
(千葉大学大学院教授・整形外科学)

診断のポイント

【1】50歳以上。

【2】殿部から下肢の疼痛やしびれを有する。

【3】殿部から下肢の疼痛やしびれは立位や歩行の持続によって出現,あるいは増悪し,前屈や坐位保持で軽快する(間欠性跛行)。

【4】腰痛を呈することも多い。

【5】MRIなどの画像で脊柱管の変性狭窄状態が確認され,臨床所見を説明できる。

緊急対応の判断基準

【1】不可逆的な神経症状を呈した場合,緊急手術や比較的早期の手術を要することがある。

❶排尿障害,排便障害,さらに安静時,歩行時の会陰部灼熱感などが強く出現した場合。

❷下肢の筋力低下や,筋萎縮などが出現した場合。

症候の診かた

【1】間欠性跛行:腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行は腰を曲げて休むと楽であり,休息時間も数分で軽快する。自転車に乗れる,ショッピングカーでの歩行は楽というのも重要な問診である。

【2】下肢痛,しびれ:当該神経根が障害された場合に当該部位に出現する(図1)。

【3】膀胱直腸障害,下肢麻痺:馬尾症候群であり,高度狭窄がある。緊急手術の可能性があり,注意を要する。

検査所見とその読みかた

【1】単純腰椎X線では退行性の変形性脊椎症や,すべり症などがある。特にL4はすべり症となりやすい。

【2】腰椎MRIが鑑別診断に重要である。

【3】脊髄造影検査,脊髄造影後CTは動的な狭窄の評価に有用である(図2⇨)。

確定診断の決め手

【1】MRIなどの画像で脊柱管の変性狭窄状態が確認され,臨床所見を説明できる。

【2】神経学的所見(間欠性跛行,腰下肢痛)が,狭窄部位由来の症状と合致している。

【3】腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールなどのツールが開発されている(表1)。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD):同様に間欠性跛行を呈する。腰部脊柱管狭窄症に比較し,休息時間が長い,自転車に乗れないなどの臨床

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