診断のポイント
【1】全身四肢関節に起こり,持続する多発性の関節炎症状(関節腫脹・痛み・熱感が3徴)を特徴とする。
【2】手指・足指に多発する有痛性の関節腫脹が早期からみられる。
【3】抗CCP抗体陽性,リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)陽性,炎症反応(CRPなど)陽性などの検査所見は重要である。
【4】長期罹患例では特有の変形(ボタンホール変形・スワンネック変形・尺側偏位など)を手指に,足部に外反母趾,開張足,槌趾変形を生じる。
【5】女性に多く,多発する持続性関節炎を見たら最初に疑う必要がある。また,高齢者に発症する例が増加している。この場合,非典型的な発症形式(肩関節など大関節に起こる)をしばしば示す。
症候の診かた
【1】女性に好発し,初期は手指関節〔手指第3(MP)関節,第2(PIP)関節,手関節〕,足趾〔中足趾節間(MTP)関節〕を中心とした多発炎症性関節炎が多い。第1(DIP)関節の罹患はまれである。
【2】起床時に長時間(おおむね1時間以上)継続する“朝の手指のこわばり”を伴う。
【3】関節に自発痛,運動時痛,圧痛を認める。増殖性滑膜炎とそれに伴う関節液の貯留による関節腫脹を認める。疼痛関節と一致しないこともある。
【4】すべての滑膜関節に関節炎が起こりうる。脊椎では環軸椎関節に症状がみられる。
【5】罹患関節には可動域制限がみられ,進行例では関節破壊による動揺性も観察される。
【6】多彩な関節外症状(発熱,貧血,腎障害,呼吸器障害など)を伴う消耗性疾患でもある。
【7】高齢者では大関節に初発するなど非定型的な発症形式を示すことがある。特に肩関節の罹患頻度が高いとの報告がある。
検査所見とその読みかた
診断は年齢,性別を参考に臨床症状,検査所見,画像所見を組み合わせて行う。特に早期では臨床症状と検査所見が重要である。
【1】血液検査
❶血沈値亢進,CRP陽性,抗C
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