診断のポイント
主なものについてポイントを記載する。
【1】皮脂欠乏性皮膚炎(図1図):高齢者に多い。好発部位は,下腿伸側である。粃糠様の鱗屑や浅い亀裂を伴う。
【2】貨幣状湿疹(図2図):中高年で多い。下腿が好発部位だが,躯幹四肢に多発する場合もある。
【3】脂漏性湿疹:乳児期と思春期以降に多い。頭部,顔面,腋窩などの脂漏部位に生じ,鱗屑を伴う。
症候の診かた
【1】瘙痒:湿疹・皮膚炎の基本的な症状である。
【2】点状状態:個疹が点状の皮疹によって構成される。
❶丘疹が基本だが,紅斑や小水疱,膿疱などが混在あるいは主体である場合がある。
❷さまざまな程度で,鱗屑を伴う。
【3】多様性:急性期から慢性期にかけて多様な形態が共存することが多い。
❶急性期では紅斑や小水疱,慢性期では,苔癬化や色素沈着をきたす。
❷さらに,痂皮や血痂を伴う場合も多い。
検査所見とその読みかた
【1】病理検査:視診,触診のみで診断が困難な場合に行う。
❶急性期では表皮の海綿状態,慢性期では表皮肥厚と真皮の線維化が特徴である。
❷いずれの病期も,さまざまな程度でリンパ球を中心とする血管周囲を主とした炎症細胞浸潤を伴う。好酸球浸潤を伴う場合もある。
【2】血液検査
❶特異的な所見はないが,特に重症な場合は,末梢血の好酸球増多を認めることがある。
❷通常,湿疹・皮膚炎のみではCRPの上昇などの高度な炎症所見や肝臓,腎臓などの臓器障害を伴わない。
確定診断の決め手
【1】瘙痒を伴う特徴的な皮疹の存在。
【2】病理検査で特徴的な所見。
【3】通常,多臓器障害や発熱などの全身症状を欠く。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】皮膚原発性T細胞性リンパ腫
❶菌状息肉症やSézary症候群などの皮膚原発のT細胞性リンパ腫はしばしば湿疹・皮膚炎と区別が付きがたい。
❷湿疹・皮膚炎と異なり,多様性を欠くことが多い。
❸病理検査が必要である。
【2】乾癬(→)
❶湿疹・皮膚
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