診療支援
診断

光線過敏症
Photosensitivity Diseases
森脇 真一
(大阪医科大学教授・皮膚科学)

診断のポイント

【1】光線過敏症は,紫外線あるいは可視光線に曝露後,健常人では起こりえない異常な反応が露光部皮膚に限局して生じる疾患群である。

【2】皮疹は多様であるが分布は顔面,手背,項部などに限局し,光線曝露後皮膚症状(皮疹)が出現する。

【3】皮疹分布などから光線過敏症が疑われれば各種光線試験を実施して確定診断を試みる。また問診にて外因の有無を確認する。

症候の診かた

【1】皮膚症状は顔面(図1),耳介上後面,手背(図2),上胸部,項部など光線露光部位に一致して生じる。

【2】皮疹は多様で,紅斑,腫脹,膨疹,丘疹,局面形成,水疱,色素異常,小瘢痕などさまざまである。

【3】ポルフィリン症では光線曝露後の露光部皮膚のピリピリ感を訴える。

検査所見とその読みかた

 光線検査,血液・尿検査,特殊検査を必要に応じて実施する。

【1】光線検査

❶人工光源を用いた紫外線,可視光線の照射試験を行い,各波長領域の光線に対する過敏性を判断する。

❷光貼付試験は発症に光アレルギーが関与する外因が疑われる場合に実施する。

❸光線照射試験は通常は24時間後に判定を行う〔最小紅斑量(MED)測定,紫外線A波(UVA)紅斑有無を確認〕。

❹光線照射後即時反応がみられれば日光じん麻疹,種痘様水疱症,多形日光疹を疑う。確定診断には誘発試験が有用である。

【2】特殊検査:色素性乾皮症ではDNA修復試験,ポルフィリン症では赤血球プロトポルフィリン値測定,可能なら遺伝子解析を実施する。

確定診断の決め手

【1】外因あるいは内因性の光線過敏症:紫外線B波(UVB)照射後のMED低下,UVA紅斑があれば強く疑われる。

❶光接触皮膚炎あるいは薬剤性光線過敏症:光貼付試験陽性。

❷慢性光線性皮膚炎:光線照射試験で24時間後異常反応がみられ,外因が発見できない高齢男性。

❸種痘様水疱症,多形日光疹:誘発試験にて臨床症状の同じ皮疹が誘発できる。

【2】

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