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診断

皮膚アミロイドーシス
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Cutaneous Amyloidosis
石川 治
(群馬大学大学院教授・皮膚科学)

 皮膚アミロイドーシスは限局性と全身性に大別される。表1に分類を示す。

診断のポイント

【1】皮膚限局性アミロイドーシスの好発部位と特徴的皮疹を理解する。

【2】透析患者,慢性炎症性あるいは慢性感染症患者では全身性のものを念頭におく。

【3】免疫細胞性アミロイドーシスでは間質結合組織にアミロイドが沈着するために巨大舌を呈する。

【4】皮膚生検でアミロイド沈着を証明することが確定診断には必須である。

症候の診かた

【1】皮膚限局性アミロイドーシス:アミロイドは表皮細胞のケラチン由来であり,以下の❶~❸が代表的である。

❶アミロイド苔癬:瘙痒が強く,中高年の四肢伸側に好発する。米粒大以下の皮膚常色から淡褐色調の充実性丘疹が多発し密集する(図1a)。

❷斑状アミロイドーシス:自覚症状に乏しく,中年女性の肩・上背・頸部に好発する。点状の灰褐色斑がさざ波状(ripple pattern)に規則正しく並ぶ(図1b)。ナイロンタオル使用が誘因と考えられる例もある(friction melanosis)。

❸肛門仙骨部皮膚アミロイドーシス:高齢者の殿裂部の左右に存在する紅褐色調の斑で,時に角化を伴う。長時間の坐位による物理刺激が誘因と考えられる。

❹限局性結節性アミロイドーシス:中年女性の下腹部・大腿に好発する。被覆皮膚は縮緬ジワ状を呈する。アミロイドは免疫グロブリンκ・λ鎖由来で,皮膚局所の異常免疫反応が推定されている。

【2】全身性アミロイドーシス

❶免疫細胞性アミロイドーシス:約20%に多発性骨髄腫を合併する。眼周囲の斑状紫斑が特徴的である。ほかに,白色丘疹,強皮症様皮膚変化などを呈する(図2)。

❷透析アミロイドーシス:殿部・躯幹に皮下結節・丘疹・紫斑を呈する。滑膜に沈着すると手根管症候群をきたす。

❸反応性AAアミロイドーシスと家族性アミロイドーシス:皮疹を伴うことはまれである。

検査所見とその読みかた

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