診断のポイント
【1】外傷歴や魚類を扱う生活歴,24時間風呂の使用の有無および病変部の注射歴。
【2】手指や四肢末梢などの外傷を受けやすい部位に病変を認める。
【3】免疫抑制状態。
【4】通常の抗菌薬療法の抵抗性。
症候の診かた
【1】多彩な臨床症状:浸潤性紅斑(図1図),丘疹,結節,潰瘍,皮下結節,皮下膿瘍,瘻孔など(図2図)を生じることがある。
【2】通常,局所の疼痛はなく熱感も伴わない(冷膿瘍)。
【3】病型
❶皮膚固定型(限局型):単発で緩徐に多彩な症状を示しながら増大してくる。
❷皮膚リンパ型:中枢側に向かって上行性に多発してくる。
❸播種型:免疫抑制状態にある患者や24時間風呂の使用により生じるMycobacterium avium感染症でみられることがある。
検査所見とその読みかた
【1】塗抹標本の抗酸菌染色:膿汁から作成し,Ziehl-Neelsen染色で赤く染色される。
【2】病理組織検査:非特異的化膿性炎症所見を示し,類上皮細胞性肉芽腫を伴ってくる。
【3】培養検査
❶主に1%小川培地を用いて,菌種により至適発育温度の違いがあるため25℃(室温)と37℃の2つで行う。
❷菌種によりコロニーの形成までの時間に迅速および遅発菌の2種があるため少なくとも8週間まで施行する。
【4】分子生物学的検査による菌種の同定
❶培養検体を用いたDNA-DNAハイブリダイゼーション(DDH)法:18菌種の同定が可能である。ただし菌種により同定率が100%でないものがある。
❷ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法:簡便に得られる臨床材料から施行できる。迅速性があり有用であるが,高感度であるがゆえに死菌も同定されることがある。現在では一般にM. intracellulare,M. avium,結核菌群の同定に限られている。
確定診断の決め手
下記【1】【2】でおおよそ鑑別疾患も含め診断可能であるが,【3】により菌種の同定が
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