診断のポイント
【1】中年~比較的高齢者。男女を問わない。
【2】非対称性に皮疹が分布する。
【3】体部・股部ではかゆみが強いが,手・足,頭部ではかゆみがない場合も多い。
【4】真菌検査で初めて診断が確定。
緊急対応の判断基準
リンパ管炎や所属リンパ節の腫脹を伴った例は専門医に紹介する。
症候の診かた
【1】手・足(図1図)
❶趾指間,掌蹠の鱗屑や過角化,小水疱,びらんの有無を観察する。
❷爪を診察し,混濁や肥厚の有無を判断する。
❸病巣には左右差があり,小水疱も大きさが不揃いである。
❹かゆみの程度はさまざまで,全くないことがある。
❺通常手白癬は足白癬を合併し,しかも片側性である(one hand two feet disease)。
❻爪白癬ではすべての爪が同時に,同程度に侵されることはまれである。爪甲は混濁しても光沢を残すことが多い。
【2】体部・股部(図2図)
❶環状の紅斑で,紅斑には鱗屑が付着する。
❷紅斑は周囲に拡大するにしたがって中央は消退し,色素沈着を残す(中心治癒傾向)。
❸通常強いかゆみがある。
❹顔面に生じると典型的な環状の皮疹を示さず,淡い紅斑のみで,自覚症状も軽微なことがある。この特徴のため,あえて顔面の体部白癬を顔面白癬と記載する成書もある。
【3】頭部白癬
❶落屑斑,脱毛斑として現れる。
❷かゆみは軽微である。
❸化膿性炎症を伴うケルスス禿瘡は痛みが強く,所属リンパ節の腫大を認める。
❹治療後に瘢痕性脱毛を残すことがある。
検査所見とその読みかた
【1】KOH直接鏡検法(以下,KOH法)(図3図)
❶病巣に付着する鱗屑を採取し,KOH液で角質を融解したのち,菌を検出する。
❷爪白癬:白く変性した病変部のみを検査に用いる。
❸頭部白癬
■容易に抜去できた毛髪や毛包内の変性した毛髪(黒点として見えることがある)を検査に用いる。
■ただし,頭部白癬では直接鏡検に適する検体を得にくいので,【2】の真菌培養法を
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