診療支援
診断

男性尿道炎
Male Urethritis
清田 浩
(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター泌尿器科・教授)

診断のポイント

【1】尿道分泌物,排尿痛,軽症では尿道瘙痒感がある。

【2】口腔性交を含む性交渉のあとの発症である。

【3】初尿の尿沈渣で10個/HPF以上の白血球を認める。

【4】尿道炎の原因微生物は淋菌とクラミジアが各々40%,ウレアプラズマが約15%,そしてマイコプラズマが約10%である。混合感染が多いため,このような割合となっている。淋菌とクラミジアが陰性の尿道炎を非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよぶ。

【5】淋菌性尿道炎では尿道分泌物の塗抹標本のグラム染色あるいはメチレンブルーによる単染色で好中球の胞体内にグラム陰性双球菌(淋菌)を認める(図1)。

症候の診かた

【1】潜伏期間:感染機会から発症までの潜伏期間は淋菌性尿道炎では3~7日,非淋菌性尿道炎では7~14日と,淋菌性尿道炎の潜伏期間のほうが短い。

【2】尿道からの分泌物

❶膿性分泌物であれば淋菌性尿道炎を,漿液性分泌物であれば非淋菌性尿道炎を疑う(図2)。

❷肉眼的に尿道からの分泌物を認めないときには,尿道を会陰部付近から外尿道口にかけて圧迫して,尿道分泌物が外尿道口から排出しないかを確認する。

【3】排尿痛:淋菌性尿道炎は他の原因微生物による尿道炎より排尿痛が強い。

検査所見とその読みかた

【1】尿沈渣:初尿(出始めの20mL程度の尿)を検体とし,その尿沈渣で10個/HPF以上の白血球があることを確認する。

【2】グラム染色

❶尿道分泌物があれば,その塗抹標本のグラム染色を行い,好中球の胞体内のグラム陰性双球菌(淋菌)の有無を確認する。

❷施設での染色ができない場合には,【1】で述べた尿道分泌物の性状で淋菌性尿道炎か非淋菌性尿道炎かを判断する。

【3】核酸増幅法:初尿を検体とした核酸増幅法により,淋菌とクラミジアを検出する。検査結果を得るまでに数日を要する。

 ウレアプラズマとマイコプラズマもPCR法(LSIメディエンス社)で検出可能であ

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