診断のポイント
【1】小児の肺炎は,年齢によって頻度の高い原因微生物が異なる。
【2】5歳以下の乳幼児では細菌性肺炎の頻度が高く,特に新生児期の原因菌としてB群溶血性レンサ球菌や大腸菌が多い。
【3】6歳以上では,マイコプラズマ肺炎の発症頻度が高い。
【4】ウイルス性肺炎ではRSウイルス感染が最も多く(図1図),ヒトメタニューモウイルス(hMPV),インフルエンザウイルス,アデノウイルスなどでもみられる。
【5】ウイルス性肺炎には季節性があり,本邦では冬季がRSウイルス・インフルエンザウイルス,春季はhMPVが多いが,近年ではRSウイルスの夏季からの流行がみられている。
症候の診かた
【1】肺炎の多くでは上気道の感染症状が先行するが,肺炎症状のピークは一般に感染後4~6日後になると考えられている。
【2】細菌性肺炎:ウイルス性肺炎と比較し,CRP陽性,白血球増多がみられ,高熱・悪寒戦慄などのサイトカイン関連症状を引き起こしやすい。
【3】RSウイルス肺炎,百日咳肺炎:乳児に無呼吸発作を起こすことがある。
【4】聴診:高頻度にcrackles,特にfine cracklesなどの断続性副雑音(ラ音)が認められる。
【5】マイコプラズマ肺炎:ほかの肺炎と比較し有熱期間が長期化する傾向にあるが,激しい咳嗽を伴うことが多い反面,胸部聴診で明らかな副雑音がみられない。
検査所見とその読みかた
【1】原因菌の検索
❶細菌性肺炎:抗菌薬の投与前に原因菌の検索を行うべきで,培養検査,喀痰塗抹検査,迅速検査などから菌種を把握する。感染症の流行やワクチン接種歴も重要である。
❷肺炎球菌肺炎:迅速検査であるBinaxNOW®(尿中肺炎球菌検出キット)やラピラン®(喀痰や鼻汁使用)が用いられるが,常在菌やワクチン接種後にも反応するため,注意が必要である。
❸マイコプラズマ肺炎:迅速検査は診断の一助となるものの,偽陰性・偽陽性は避