診療支援
診断

小児のGuillain-Barré症候群
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Guillain-Barre Syndrome in Children
稲葉 雄二
(長野県立こども病院・神経小児科部長)

診断のポイント

【1】左右対称性の進行性弛緩性麻痺。

【2】しびれや疼痛などの感覚症状が先行しやすい。

【3】発症前約4週以内の先行感染や予防接種。

【4】深部腱反射の減弱または消失。

【5】神経伝導検査で脱髄または軸索障害パターン。

緊急対応の判断基準

 重症例では球麻痺,呼吸不全をきたすため,その場合は気管挿管のうえ,人工呼吸管理とする。

症候の診かた

【1】運動障害

❶左右対称性の弛緩性麻痺で,軽症例では上肢または下肢に限局する。

❷幼児では「歩きたがらない」「下肢の痛み」などの訴えのみのことも多い。

【2】脳神経障害:顔面神経麻痺,球麻痺,眼球運動障害などを50%で合併する。

【3】呼吸障害

❶呼吸筋麻痺や球麻痺のため人工呼吸管理を13.3%で要する。

❷症状のピークは通常2週以内,遅くとも4週以内。

【4】感覚障害:小児では痛みの訴えが多い。

【5】自律神経障害:頻脈,徐脈,高血圧,起立性低血圧,排尿障害など。

【6】深部腱反射減弱または消失:病初期には正常で,一部の軸索型では亢進することがある。

検査所見とその読みかた

【1】神経伝導検査

❶病初期から感度,特異度が高く,病型診断上も必須。

❷運動神経における遠位潜時延長,伝導速度遅延,伝導ブロック,複合筋活動電位の時間的分散の増大や振幅低下,F波の消失や潜時延長などを評価し,脱髄か軸索障害かを判別する。

❸伝導ブロックは軸索障害の初期でも認めうる。

【2】髄液検査

❶蛋白細胞解離は有名だが,病初期に蛋白上昇はなく,感度・特異度ともに低い。

❷IgGインデックスは約30%の症例で上昇する。

【3】血清糖脂質抗体

❶保険適用であるGM1-IgG抗体とGQ1b-IgG抗体のほか,多数の糖脂質やガングリオシドに対する抗体がある。

❷必ずしも病型と1対1で対応しないが,抗GM1-IgG抗体はCampylobacter jejuni感染後の軸索障害との関連が強い。

【4】脊髄MRI

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