診断のポイント
【1】16歳未満の発症。
【2】6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎。
【3】他の病因によるものを除外できる。
【4】病型を「全身型」(弛張熱,発疹,関節症状などの全身症状を主徴)と「関節型」(関節炎が病態の中心)の2群に大別すると整理しやすい(表1図)。
【5】適切な診断のために,日本リウマチ学会による「初期診療の手引き2015年版」を参照のこと。
症候の診かた
【1】全身型
❶発熱(弛張熱あるいは間欠熱),関節痛・関節腫脹,リウマトイド疹,筋肉痛や咽頭痛などの症状を呈する。
❷マクロファージ活性化症候群(macrophage activation syndrome:MAS),播種性血管内凝固症候群(DIC)などの重篤な合併症に注意。
【2】関節型:関節炎が診察により明確に認められる対称性関節炎であり,関節症状は早朝から午前中に悪化する。
❶少関節型:関節痛・関節腫脹(罹患関節数≦4),可動域制限,朝のこわばりに加え,ぶどう膜炎を合併するが,放置すれば失明率が高い。
❷RF陰性多関節型
■関節痛・関節腫脹(罹患関節数≧5),可動域制限,朝のこわばりに加え,40%で発熱を認める。
■5~10年の経過では,30%が無治療で40%が無症状であった。95%が関節機能正常~軽度障害と関節予後はよい。
❸RF陽性多関節型
■この病型は関節リウマチに近い病態である。
■関節痛・関節腫脹・可動域制限・朝のこわばりが著明で,可動域制限を70%,変形を20%で認め,中等度~重度の関節機能障害を認める。
検査所見とその読みかた
【1】全身型
❶スクリーニング検査
■左方移動を伴わない好中球優位(全分画の80~90%以上)の白血球数の著増,血小板増多,貧血の進行。
■赤沈値,CRP値,血清アミロイドA値が高値。
■凝固線溶系の亢進のため,Dダイマー高値。
❷絞り込む検査
■フェリチン値の著増例では,MASへの移行に注意。
■関節
関連リンク
- 今日の診断指針 第8版/小児の白血病
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/1 関節炎
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/4 関節リウマチ
- 今日の治療指針2023年版/若年性特発性関節炎
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/関節症性乾癬
- 今日の治療指針2023年版/若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)
- 臨床検査データブック 2023-2024/リウマチ因子〔RF〕《リウマトイド因子》 [保]*
- 内科診断学 第4版/反応が鈍い
- 新臨床内科学 第10版/4 リウマチ性多発筋痛症,RS3PE症候群
- 今日の診断指針 第8版/関節リウマチ
- 臨床検査データブック 2023-2024/マトリックスメタロプロテイナーゼ-3〔MMP-3〕 [保] 116点
- 今日の診断指針 第8版/関節リウマチの骨・関節障害
- 今日の整形外科治療指針 第8版/若年性特発性関節炎