◆疾患概念
【定義・病型】
DSM-5は,重症度と持続期間において統合失調症の診断基準は満たさないものの精神病状態に準じる状態の一群を,「減弱精神病症候群(準精神病症候群)」(APS)と名づけ,さまざまな議論の結果,本編ではなく,付録にあたる第3部の「今後の研究のための病態」に含めた.APSに関するこれまでの研究成果による疾患概念としての信頼性が不十分であること,その他の疾患との境界が不鮮明であること,さらにこうした顕在発症以前の状態に対して診断名を与えることの影響が考慮された結果である.
精神病エピソードに先立つさまざまな症状は,身体疾患と同様に,後方視的には前駆症状と見なすことができる.しかし統合失調症やその他の精神病においてはエピソードに先立って特異的な(前駆)症状が存在するわけではない.したがって前駆症状を呈する者のすべてが顕在発症するわけではなく,多くの偽陽性を含むことになり,前方
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