診療支援
治療

血管性認知症
vascular dementia (VaD)
宇高不可思
(住友病院・副院長(大阪))

◆疾患概念

【定義・病型】

 血管性認知症(VaD)とは,脳梗塞や脳出血などの脳血管障害cerebrovascular disorder(CVD)に起因する認知症を総称したもので,病態の多様性を反映し,症候や経過は多様である.NINDS-AIRENの診断基準(1993)では以下のように分類している.

1)多発梗塞性認知症

2)重要な部位の単一病変によるVaD

3)小血管病変性認知症

4)低灌流性VaD

5)脳出血性VaD

【病因・病態】

A.多発梗塞性認知症

 大脳皮質・白質を含む多発性皮質枝領域梗塞による.梗塞の機序は,主幹動脈のアテローム硬化による血栓症,心原性塞栓症などである.急性発症または階段状悪化を示し,高次脳機能障害として,失語,失行,失認,視空間障害,構成障害や遂行機能障害などがみられる.障害された大脳皮質の機能局在に一致して運動麻痺を含む神経症候も示す.

B.局在病変型梗塞認知症strategi

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