診療支援
治療

内科疾患による不眠
insomnia due to medical condition
粥川裕平
(かゆかわクリニック・院長(愛知))

◆疾患概念

 不眠は日常臨床で最もありふれた訴えだが,主治医からは「不眠で死ぬことはない」と軽視される傾向があった.最近では良好な睡眠が高血圧,肥満,糖尿病や癌などの内科疾患そのものの管理や予後に影響すると報告されている.

 したがって,内科疾患による不眠の一節を設ける医学的根拠は十二分にある.

【定義・病型】

 内科疾患による不眠症の基本的特徴は,同時に存在する内科疾患によって引き起こされるという点である.入眠困難や睡眠維持困難がもたらされるか,あるいは目覚めがすっきりしなかったり,ぐっすり眠れなかったりすることを心配するのが特徴である(表1)

【病態・病因】

 多くの内科疾患のため慢性的不眠が引き起こされる.正常な睡眠をとるためには身体的に快適でなければならないので,痛み・呼吸障害・移動制約・中枢神経症状を引き起こす障害によって,入眠困難や睡眠維持困難が引き起こされる.慢性疼痛では,目覚めがす

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