診療支援
治療

呼吸器疾患合併症
respiratory complications
本田 明
(東京武蔵野病院・内科医長)

Ⅰ.肺炎

◆疾患概念

 肺炎pneumoniaは臨床上,市中肺炎,医療・介護関連肺炎,院内肺炎に分けられ,日本呼吸器学会がそれぞれのガイドラインを発表している(詳細は各ガイドラインを参照).市中肺炎は通常病院外で発症した肺炎を指すが,精神科病棟入院中でも入院間もないもともと身体的に健康な患者で,精神疾患の治療を主に目的として入院して,最近抗菌薬が投与されていなければ市中肺炎と見なしてよい.医療・介護関連肺炎は精神科慢性期病棟や認知症病棟などで発生する肺炎が当てはまる.院内肺炎は入院48時間以降に新たに出現した肺炎を指し,精神科病棟では合併症が多い病棟での発生が当てはまる.

◆診断のポイント

 発熱,咳嗽,喀痰,呼吸困難,胸痛などの臨床症状が出現する.バイタルサインでは呼吸数の増加が,聴診上は断続性ラ音が認められる.またSpO2の低下も認められる.血液検査所見では白血球数の増加,CRPの上昇,赤沈の

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