診療支援
治療

発熱
fever
小松充孝
(賛育会病院小児科・部長(東京))

治療のポイント

・発熱をきたす疾患は多岐にわたるため,詳細な病歴の確認と身体診察が診断に有用である.

・対症療法のみならず,必ず発熱をきたした原疾患を診断し,介入することが肝要である.

・2013年にHibワクチン,肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が定期接種となり,侵襲性細菌感染症の疫学の変化から乳幼児の発熱対応にも変化が出てきている.

・小児の発熱に対し対症療法薬として安全に用いることができる解熱薬はアセトアミノフェンとイブプロフェンのみである.

●病態

・体温が高い状態は,視床下部の体温セットポイント上昇からもたらされる発熱(fever)と,セットポイント上昇なくもたらされる異常な体温の上昇(熱中症など)の高体温(hyperthermia)の2つに大別され,本項では発熱について述べる.発熱は救急外来において,最も遭遇する機会の多い小児の症候の1つである.腋窩温で37.5℃以上,もしくは平熱より1.0℃以上体温が上昇している場合に発熱と定義することが多い.

・体温は体温計によって簡便に数値化して測ることができるため,保護者は体温の高低によって不安を感じやすくfever phobia(発熱を過剰におそれること)を生み出す原因となる.

・体温上昇は白血球の貪食能亢進や遊離鉄などの栄養素減少から細菌やウイルスの増殖を抑制するが,基礎代謝亢進から酸素消費量などが増加する可能性があるため,発熱によるメリット,デメリットを考慮し解熱薬の投与を考慮する.

・発熱をきたす病因は,①感染症,②炎症性疾患,③腫瘍,④その他,の4つに大別される.このうち最も一般的な原因は感染症であり,その多くは自然軽快するウイルス感染症(上気道炎や胃腸炎)や単純な細菌感染症(急性中耳炎,A群β溶連菌性咽頭炎,副鼻腔炎)などであり,詳細な病歴聴取と丁寧な身体診察によって診断することができる.その後,病歴および身体所見から考えられ

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