診療支援
治療

腹痛
abdominal pain
井上敬介
(市立ひらかた病院小児科・部長)

 腹痛は外来診療の10%を占め,原因は胸部や腎尿路などを含めた多岐にわたるが,ウイルス性腸炎や便秘が多く,むやみに腹部X線などのスクリーニング検査をするべきではない.まず,緊急性の有無の判断が第一に求められ,重症度に応じて検査をする.また,疾患ごとの好発年齢があることに留意する.

●病態

・腹痛は内臓痛,体性痛,関連痛に分けられる.内臓痛は内臓の伸展,膨張,収縮,圧迫,捻れなどにより生ずる境界不明瞭な鈍痛である.

・体性痛は,炎症が周囲の結合織や腹壁に及ぶと発生する持続性で,局在性の鋭い疼痛である.関連痛は原因臓器とは離れた部位に生ずる皮膚疼痛である.

●治療方針

A.診察

1.全身状態の把握

 診察室に患児が入ってくる様子(意識,顔色,表情,姿勢など)を観察する.また,バイタルサインを測定し,全身状態を把握する.

2.病歴聴取

 年齢,発症時期,腹痛の部位と強さ,性状(急性・慢性,持続的・断続的,増悪・改

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?