●病態
・アミノ酸の代謝過程において,主に酵素障害のために中間代謝産物である有機酸が体内に蓄積する疾患である.発症形態によっておおよそ下記のように分類される.
a)新生児発症型:哺乳低下や嘔吐,多呼吸,意識障害などで発症する
b)間欠発作型:感染や発熱などのストレスや飢餓を契機に,意識障害や嘔吐などで発症する
c)慢性進行型:乳児期から徐々に神経退行をきたす
d)その他:頑固な湿疹や尿路結石などを生じる
・尿中有機酸分析や血中アシルカルニチン分析で化学診断を行う.必要に応じて酵素活性診断,遺伝子解析で確定診断を行う.
●治療方針
日本先天代謝異常学会から「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019」が出版されている.各疾患の詳細はガイドラインを十分に参照されたい.
A.急性期の治療
呼吸・循環動態を安定させ,ケトアシドーシスや高アンモニア血症などの改善をはかる.蛋白摂取をすべて中止し,異化亢進を防ぐために十分な糖濃度(7~10mg/kg/分程度)の輸液を行い,必要時にはインスリンを併用する.
Px処方例 高度な代謝性アシドーシス(pH<7.2)には➊に➋を併用する.
高アンモニア血症で使用する安息香酸ナトリウムは,院内調製により静注製剤とする.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.併用も可能である.
➊安息香酸ナトリウム(院内調製) 1回100~250mg/kgを2時間で静注後,維持量として1日200~250mg/kgを投与
➋カーバグル薬分散錠(200mg) 100mg/kgを初回投与後,6時間ごとに25~62mg/kgを投与
高アンモニア血症・代謝性アシドーシスが持続する場合には,漫
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