●病態
・ミトコンドリアでの脂肪酸β酸化が障害されることでエネルギー産生不全をきたす疾患群であり,脳,心臓,肝臓,骨格筋など,エネルギー需要の多い臓器が障害されやすい.
・重篤な低血糖発作や横紋筋融解,ライ様症候群などをきたすこともある.
・日本先天代謝異常学会編集の「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019」も参照されたい.
●治療方針
エネルギー産生不全の予防が最も重要となる.
A.急性期
急性期発作の際は脂肪酸の異化亢進を防ぐために十分量の高張ブドウ糖輸液を行う.必要に応じてGI療法やアシドーシスの補正,高アンモニア血症の治療で代謝不全を是正する.
B.慢性期
急性期発作予防のため,食事間隔に注意し空腹時間が長引かないように指導する.年齢別の食事間隔の目安は,新生児期(3時間),生後6か月まで(日中4時間,睡眠時4時間),1歳まで(日中4時間,睡眠時6時間),3歳まで(日中4時間,睡眠時8~10時間),4歳以上7歳未満(日中4時間,睡眠時10時間)である.さらに夜間の生コーンスターチの利用を必要とすることもある.
カルニチン投与に関しては議論があり,血中カルニチン値によって欠乏所見があれば補充を検討する.
とりわけて重要なのが,発熱・感染・飢餓などのsick dayの対応であり,早めの医療機関受診や十分なブドウ糖輸液が必要である.哺乳可能であっても重篤な代謝不全をきたしうるため,原則として入院のうえでモニター管理のもと厳重に管理を行う必要がある.生命を脅かす低血糖などの発作は主に就学前までと考えられており,この時期を安全に乗り切れるかが児の予後にきわめて重要となる.
■専門医へのコンサルト
・経験のある専門家が管理を行うか,もしくは専門家と併診することが望ましい.
■患児・家族説明のポイント
・軽微な症状のみの場合でもブドウ糖輸液や入院が必要となることを,平時から繰り返
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