診療支援
治療

マススクリーニングで陽性になった新生児への対応
深尾敏幸
(元 岐阜大学大学院小児病態学・教授)

 本項では代謝異常症のスクリーニング疾患に限って述べる.詳細は「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019」(日本先天代謝異常学会)に,新生児マススクリーニングで疑われた場合という項が各疾患にあるので参照のこと.

 ここではスクリーニング陽性とは再検ではなく精検となった場合を指す.表1にスクリーニングの指標とそれに対応する疾患をあげ,ここでは基本的な考え方を示す.

A.ガラクトース異常

 通常ガラクトース値およびガラクトース1リン酸値,ボイトラー法でのガラクトース1リン酸ウリジルトランスフェラーゼ活性の3つが検査される(都道府県により違いがある).

 臨床上緊急なのはボイトラー法で活性低下を認める場合で,直ちにガラクトース(乳糖)除去を開始する(母乳,普通ミルクを中止し,大豆乳か乳糖除去ミルクへ変更).

 そのほかの場合でもガラクトースが10mg/dLを超えるか,ガラクトース1リン酸が20mg/dLを超えるときは乳糖制限を行う.多くの場合は門脈体循環シャント,シトリン欠損症でのガラクトース上昇例が多く,鑑別を進める.

B.フェニルアラニン(Phe)高値

 6mg/dL(360μmol/L)以上であればBH4(ビオプテリン)の1回負荷試験を行い(方法は上記ガイドライン参照),BH4欠損症とフェニルアラニン水酸化酵素欠損症(BH4反応性高フェニルアラニン血症を含む)の鑑別を行うことが必要である.

 BH4は日本大学病院小児科「BH4欠乏症審査委員会事務局」(biopten.med@nihon-u.ac.jp)から入手する.プテリジン分析,血液ろ紙でのDHPR活性測定も同時に行う.これは大阪市立大学小児医学分野に問い合わせる(bh4@med.osaka-cu.ac.jp).検査は迅速に行い,なるべく早くPheを低下させることが重要である(通常ミルクとPhe除去ミルクの併用).

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