先天性副腎過形成症は,副腎でのステロイド合成に関与する酵素・補酵素・輸送蛋白の先天的な異常によって発症する,コルチゾールの分泌低下をきたす疾患の総称である.最も頻度が高い21-水酸化酵素欠損症の治療を中心に解説する.
Ⅰ.21-水酸化酵素欠損症
●病態
・21-水酸化酵素の活性が低下・喪失し,コルチゾール・アルドステロンの産生障害が生じることで発症する.コルチゾール産生障害は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)過剰分泌を引き起こし,コルチゾール前駆体の蓄積の結果,副腎アンドロゲン産生が亢進する.
・この過剰アンドロゲンに曝露されることにより,女児では外性器の男性化が起こる.
●治療方針
治療の目標は不足しているコルチゾール・アルドステロンの適切な補充により,副腎不全を防ぎ,過剰なアンドロゲン分泌を抑制して,正常な成長・二次性徴を獲得することである.加えて男性化症状を認める女児に対しては,外性器形成術が必要となる.
A.初期治療
1.塩喪失症状を認めない場合
Px処方例
コートリル薬錠 1日25~100mg/m2 1日3回に分けて
例)身長50cm,体重3kgの場合:1回1.5~7mg 1日3回 その後,5~7日ごとに漸減
2.塩喪失症状を認める場合
上記1.に準じたヒドロコルチゾンの投与を行い,塩喪失症状(電解質異常や体重増加不良)が出現した時点でフルドロコルチゾン・食塩の併用投与を開始する.
Px処方例 1.のコートリルに下記➊➋を併用する.
フルドロコルチゾンの副作用は高血圧や浮腫である.投与量と相関しないという報告がある点に留意する.
3.副腎クリーゼを伴う場合
初診時に副腎不全症状を認める場合には,輸液とヒドロコルチゾン投与を並行して行う.輸液はブドウ糖を
関連リンク
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