診療支援
治療

混合性性腺異形成
mixed gonadal dysgenesis
永松扶紗
(東京都立小児総合医療センター内分泌・代謝科,熊本大学病院小児科)

●病態

・混合性性腺異形成は,染色体型45,X/46,XYモザイクで規定される疾患である.表現型は幅広く,性腺は索状性腺と精巣成分がさまざまな割合で混在し,内外性器も正常男性型,非典型(ambiguous genitalia),正常女性型いずれもありうる.一個体内でも性腺成分や内外性器の形態に左右差を認めることがしばしばある.養育性は性腺組織や機能,内外性器所見などを総合して判断しなければならない.

・染色体に45,X成分を含むため,Turner(ターナー)症候群の特徴を併せもつことがあり,低身長,心合併症,腎合併症などの同症候群に準じた評価も必要となる.

●治療方針

 治療方針は,①内外性器の形成や性腺機能など,養育性が男児の場合と女児の場合に異なる点と,②養育性にかかわらず共通である点がある.

A.養育性で治療方針が異なる点

1.養育性が男児の場合

a.性腺 停留精巣を認める場合は精巣固定術を行う.腹腔内の索状性腺は,固定術が困難な場合がある.その際は悪性化リスクを考慮し,性腺摘除術を行う.これらの外科治療は乳児期から1歳頃に行う場合が多い.

 性腺機能低下を認める場合は小陰茎に対して,あるいは思春期発来と以後の男性ホルモン補充を目的として,男性ホルモン投与を行う.

 性腺腫瘍発生のリスクが高いといわれているため,定期的な評価を行い,発症した場合には性腺摘除術の適応となる.

Px処方例 (男性ホルモン補充療法)小陰茎治療の場合➊を,思春期以降の男性ホルモン補充の場合➋を用いる.

➊エナルモンデポー注 1回25mg 月1回 筋注 1歳頃までに最大3回投与

➋エナルモンデポー注 1回12.5mgより開始 半年ごとに12.5mgずつ増量していく(成人量1回125~250mg) 月1回 筋注

 開始年齢は一定ではないが,ほかの性腺機能低下症と同様に,多くは13歳頃に思春期発来を認めない場合,治療開始

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?