●病態
・若年性線維筋痛症(JFM)は,一般的な画像検査や血液検査で器質的異常の見出されない「原因不明の全身の疼痛性疾患」と定義される.
・全身疼痛,筋痛,関節痛,頭痛などの痛みを中核とし,慢性疲労感,睡眠障害,自律神経障害による症状,抑うつ気分などを合併する.
・病態は疼痛情報伝達の異常や痛み刺激による中枢神経疼痛領域の活性化などが,病因は遺伝的要因などが報告されている.加えてJFMでは性格的傾向,母子のかかわり方,発達障害の有無なども影響している.
・線維筋痛症の診断は,米国リウマチ学会分類基準(1990年)の特徴的圧痛点により規定される.小児ではJFM診断基準(Yunus & Masi,1985)も用いられる.
・日本線維筋痛症学会から「線維筋痛症診療ガイドライン2017」が刊行されている.
●治療方針
第一に多彩な痛みに共感しつつ,十分な問診を行う.その際に母子のかかわり方も観察する.
第二に器質的異常を否定し,痛みは前思春期・思春期の成長発達過程と関係があることと,薬物療法を併用しながら症状の緩和に取り組むことを説明する.
第三に痛みに対する周囲の理解が重要であることを説明し,自己管理と自己表現を援助するように患児に合わせた生活指導(規則正しい生活,軽い運動やマッサージ,生活記録など)を行う.
A.薬物療法
1.疼痛
Px処方例
➊ノイロトロピン薬錠(4単位) 1回2錠 1日2回(成人量1日4錠)
疼痛が強い場合➋を用いる.
12歳以上の症例に対しては➊に➌を併用する.
➌リリカ薬カプセル(25mg) 1回1カプセル 1日2回(成人量1日150~300mg)
上記量より開始し,副作用に注意しながら増量する.
2.睡眠障害
不眠は疼痛や倦怠感を悪化させるため,睡眠をとることは重要であ
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