Ⅰ.伝染性単核症
●病態
・発熱,咽頭痛,扁桃腫大,頸部リンパ節腫脹と肝脾腫を主徴とする急性感染症である.主にEpstein-Barr(EB)ウイルスの初感染に伴って発症し自然軽快するが,乳幼児は不顕性感染か軽症例が多く,青年期以降の発症ではしばしば対症治療が必要となる.
・検査では,リンパ球優位の白血球増多と異型リンパ球の出現が特徴的である.
・EBウイルスの初感染は,血清抗VCA-IgM陽性かペア血清で抗VCA-IgG(蛍光抗体法)の4倍以上の上昇で診断する.乳幼児は,サイトメガロウイルスの初感染による例もしばしばみられる.
●治療方針
EBウイルスあるいはサイトメガロウイルスの初感染と診断したら,抗ウイルス薬はないため経過観察を基本として,必要な場合に対症療法を行う.年長児ではステロイド投与を考慮する重症例もある.
同様な症候で発症する難治性EBウイルス関連疾患の鑑別が必要である.特に,乳幼児ではEBウイルス初感染に伴う血球貪食症候群〔血球貪食性リンパ組織球症(HLH:hemophagocytic lymphohistiocytosis)〕と家族性HLH,年長児では慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV:chronic active EB virus infection)(後述)との鑑別が重要である.HLHは病勢の進行が早いので,疑ったら免疫化学療法の可能な施設へ直ちに搬送する.これらは血球減少と消費性凝固障害が鑑別診断のポイントである(詳細は各診断基準を参照).
A.対症療法
EBウイルスかサイトメガロウイルスの初感染が確定すれば予後は良好なので経過観察し,必要に応じた対症療法を行う.多くは発症からほぼ2週間以内に軽快するが,発熱と肝障害がくすぶり,それ以上にわたって症状が持続することもある.
サイトメガロウイルス感染症の場合は,EBウイルスによるものより軽症例が多く治療方針
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