Ⅰ.先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症
●病態
・胎児が感染すると全身臓器を広範に侵すおそれがあるが,とりわけ発達途上の脳はその影響を受けやすい.先天性難聴の原因としても重要である.
・胎内感染の約20%が出生時に症候性であるが,遅発性発症まで含めると約30%の胎内感染児が症候性で,これは年間全国で約1,000人に相当する.
●治療方針
A.重症
中枢神経障害〔神経学的異常,眼科的異常,感音性難聴,小頭症,先天性CMV感染症として矛盾しない頭部画像異常(石灰化,中等症以上の脳室拡大,嚢胞,白質異常,大脳低形成,小脳低形成,海馬異形成,神経細胞移動障害など)〕,生命予後にかかわる病変,単一臓器の高度の障害(例:肝不全),または顕著で持続性の多臓器障害を有する重症例に対し,下記の抗ウイルス療法を行う.
Px処方例 下記➊が標準治療で6か月間投与する.消化管病変などのために経口投与できない場合は➋から開始し,できるだけ早く➊に移行する.生後30日以内の治療開始が原則である.生命予後にかかわる活動性病態を呈し,明らかに治療抵抗性の場合は➌も考慮するが,活動性病態が鎮静化したら中止する.
➊バリキサ薬ドライシロップ 1回16mg/kg(成分量として) 1日2回 12時間ごと
➋デノシン薬注 1回6mg/kg 1日2回 12時間ごと 1時間以上かけて点滴静注
➌ホスカビル薬注 1回60mg/kg 1日3回 8時間ごと 1時間以上かけて点滴静注
いずれの治療も保険適用外であり,十分なインフォームド・コンセント(倫理委員会承認が原則)のもとで,副作用モニタリングを確実に行いながら実施する.
B.無症候性,軽症・中等症
無症候性または軽症(臨床的に顕著でない,または一過性の所見が1~2つ存在する)の場合は,通常抗ウイルス療法の適応としない.中等症の場合はケースバイケースで対応する.
Ⅱ.日和見CMV感染症
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関連リンク
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