診療支援
治療

日本脳炎
Japanese encephalitis
石和田稔彦
(千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野・准教授)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[感]4類

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●病態

・日本脳炎ウイルスによる髄膜脳炎である.

・日本脳炎ウイルスを保有する蚊(国内では主にコダカアカイエカ)に刺されることによって感染・発症する.日本脳炎ウイルスは西日本を中心に広い地域で確認されている.

・潜伏期間は6~16日とされ,日本脳炎ウイルスに感染した100~1,000人に1人が,ウイルス血症を経て中枢神経系に感染し,脳炎を発症するとされる.

・脳炎を発症すると発熱,頭痛,悪心,嘔吐から,けいれん,意識障害などの症状が認められる.

・日本脳炎ワクチンによる予防が有効で,定期接種ワクチンの1つである.

●治療方針

 日本脳炎に対する特異的な治療方法はない.急性脳炎に対する治療を行う.確定診断は,抗体検査,髄液からのRT-PCRによるウイルスRNAの検出,ウイルス分離により行う.

A.頭蓋内圧亢進症状を伴う場合

Px処方例

D-マンニトール注(15%) 1回0.5~1g/kgを15~30分で静注 1日3~6回 血清浸透圧が320mOsm/Lを超えないようにコントロールする

B.けいれんが5分間以上持続する場合

Px処方例 下記➊➋のいずれかを用いる.けいれんが止まらない場合➌または➍を追加する.

➊セルシン注 1回0.3~0.5mg/kg 緩徐に静注

➋ドルミカム注 1回0.15mg/kg 1mg/分の速度で静注

➌ノーベルバール注 1回15~20mg/kg 速度は100mg/分以下として10分以上かけて静注

➍ホストイン注 1回22.5mg/kg 心拍数や血圧のモニタリングを行いながら,3mg/kg/分または150mg/分のいずれか低いほうを超えない速度で静注

C.ガンマグロブリン製剤投与

 日本脳炎に対する有効性は明ら

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?