診療支援
治療

化膿性リンパ節炎
suppurative lymphadenitis
山中崇之
(新潟市民病院小児科・医長)

治療のポイント

・主に黄色ブドウ球菌とA群溶血性レンサ球菌(GAS)をカバーする.

・軽症例は経口治療が可能であるが,中等症以上では入院治療を行う.

・初期治療に反応せず,膿瘍を形成した場合には穿刺吸引や切開排膿を検討する.

●病態

・化膿性リンパ節炎は細菌によるリンパ節の急性感染症である.通常片側性で,1つから数個のリンパ節に起こることが多く,径は2~3cm以上になることが一般的である.

・起因菌は障害された皮膚や粘膜からリンパ流を通じて,あるいは隣接するリンパ節から侵入する.侵入した細菌に対する補体の活性化やサイトカインの放出といった初期の炎症反応が好中球やマクロファージのリンパ節への浸潤を引き起こす.その結果,血管の怒張,リンパ節内の浮腫,抗原刺激に対する細胞増殖によりリンパ節腫大が生じる.

・川崎病,ウイルス感染症(Epstein Barrウイルス,サイトメガロウイルスなど),菊池病,悪性リンパ腫などが鑑別にあがる.

●治療方針

 起因菌は黄色ブドウ球菌とGASが80%以上を占める.乳児期にはB群溶血性レンサ球菌も起因菌となりうる.治療期間は10日間あるいは急性期の症状が軽快してから5日間の,いずれか長いほうの期間行う.膿瘍がある場合には膿瘍が消失するまで治療する.

A.軽症例

 経口薬での外来治療が可能である.

Px処方例 下記➊を用いる.第3世代セファロスポリン系薬剤は腸管からの吸収が悪いこととグラム陰性桿菌のカバーが広く,抗菌薬適正使用の観点から好ましくない.起因菌がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と判明している場合や,過去にMRSAの検出歴がある場合は,その感受性に応じて➋➌を用いることもある.

➊ケフレックスシロップ用細粒 1回20~33mg/kg(成分量として) 1日3回(1日最大4,000mg)

➋ダラシンカプセル(150mg)(脱カプセル) 1回10mg/kg(成分

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