診療支援
治療

レジオネラ症
legionellosis
上山伸也
(倉敷中央病院感染症科・医長)

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[感]4類

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●病態

・細胞内寄生菌であるLegionella pneumophilaが原因で起こる感染症であり,臨床的には発熱を主症状とするポンティアック熱と肺炎の2つに分類される.国内ではかなりまれな疾患である.

・新生児や原発性免疫不全症候群,免疫抑制薬を使用している患者で重症化しやすい.腹痛や下痢,筋肉痛,食欲不振などの肺外症状を認めることが多い.診断は感度74%,特異度99.1%の尿中抗原(ただし血清型1のみ),喀痰培養(BCYE-α培地)を用いる.

・診断したら感染症法第4類の全数把握対象疾患であるため,保健所へ報告する義務がある.

●治療方針

 原則としてマクロライド系抗菌薬が第1選択である.フルオロキノロン系とマクロライド系の治療効果は同等と考えられている.Legionellaは細胞内寄生菌であるため,βラクタム系抗菌薬やアミノグリコシド系薬は無効である.

A.重症の場合(いずれも小児では保険適用はない)

Px処方例

 (第1選択薬)

➊ジスロマック注 1回10mg/kg(成人量500mg) 1日1回 点滴静注 5~10日間 濃度を1mg/mLとして3時間以上かけて投与

 (第2選択薬)

➋シプロキサン注 1回10mg/kg(成人量400mg) 1日3回 点滴静注 14~21日間

B.軽症~中等症の場合

Px処方例

 (第1選択薬)

➊ジスロマック小児用細粒 1回10mg/kg(成分量として)(成人量500mg) 1日1回 5~10日間

 (第2選択薬)下記➋~➍のいずれかを用いる.

➋クラリスドライシロップ小児用 1回7.5mg/kg(成分量として)(成人量500mg) 1日2回 14~21日間

➌バクタ配合顆粒 トリメトプリム

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