診療支援
治療

扁桃炎
acute tonsillitis,acute pharyngitis
山口禎夫
(国立病院機構栃木医療センター感染アレルギー科・小児科部長)

治療のポイント

・各種ウイルス,細菌の迅速診断キットを活用し,病原菌およびウイルスの診断に努める.

・急性咽頭・扁桃炎では,主にA群溶血性レンサ球菌(GAS)が抗菌薬療法の適応となる.

・「抗微生物薬適正使用の手引き第一版」(厚生労働省),「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017」などを参照し,抗菌薬療法の適応につき検討する.

●病態

 急性咽頭・扁桃炎の病原微生物は,ウイルス〔アデノウイルス,インフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,EBウイルス,エンテロウイルス(コクサッキー,エコー),ヒトヘルペスウイルスなど〕が原因となることが多い.細菌では,A群溶血性レンサ球菌(GAS)が多く,まれにC群やG群レンサ球菌,インフルエンザ菌,肺炎球菌もあるが,いずれも保菌(常在菌として存在)かどうかの判別が必要である.口蓋扁桃の発赤・腫脹,白苔を伴う滲出性扁桃炎では,GAS,アデノウイルス,EBウイルスが原因となることが多い.

●治療方針

A.検査

1.迅速診断キット

 保険適用がある検査として,細菌ではGASがある.ウイルスでは,アデノウイルス,インフルエンザウイルスなどがある.GASの場合,菌量が少ない場合は検出されず,死菌や保菌の場合に検出されることがあるため,解釈には注意が必要である.

2.培養検査

 抗菌薬療法を考えている場合,投与前に施行することが望ましい.特に小児の場合,インフルエンザ菌,肺炎球菌,黄色ブドウ球菌といった病原菌が分離されることがあるが,多くは保菌(常在菌)であることが多い.GASが分離された場合,菌量が少ない場合は保菌であることが多いが,反復性扁桃炎の原因菌となることがあり,続発症であるリウマチ熱予防の観点からも除菌を推奨することも多い.

B.薬物療法

1.ウイルス感染や保菌が疑われる場合

 安静,保温,保湿(脱水予防)が基本である.扁桃の発赤腫脹が強い場合,抗炎症効果

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