治療のポイント
・主な原因はウイルス感染症であり感冒症状が先行することが多い.
・乳幼児では気管支喘息との鑑別が重要となる.
・慢性副鼻腔炎に合併して症状が遷延する場合がある.
・ほとんどの場合,抗菌薬は不要である.
・迅速診断キットを用いた病原検査や細菌培養,血液検査を行い,適切な抗菌薬投与を行う.
●病態
A.急性気管支炎
一般的には鼻水,乾性咳嗽,発熱などウイルス性上気道炎の症状で発病し,しだいに痰を伴い湿性咳嗽となる.聴診にて下気道疾患を示唆する所見があるものの,胸部単純X線像では明らかな異常陰影を認めない(肺炎が否定される)場合に気管支炎と診断する.2週間以内に咳嗽が軽減するものを急性気管支炎と定義する.
多くはウイルス〔ライノウイルス,RSウイルス(RSV),インフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,アデノウイルス,ヒトメタニューモウイルス(hMPV)など〕が原因となり,季節により流行がある.細菌では肺炎マイコプラズマ,肺炎クラミジアや二次感染としての肺炎球菌,インフルエンザ桿菌などが原因となる.ウイルスの種類により重症化する年齢や症状が異なる.乳児期はRSV感染が多く,時に重篤な呼吸障害を合併する.アデノウイルス,肺炎マイコプラズマなどは集団生活において流行することが多い.
ウイルスが侵入すると炎症細胞の活性化やサイトカインの放出がみられ,気道粘膜の上皮細胞傷害や浮腫を認める.気道の狭窄や過敏性亢進により副雑音(crackles,rhonchus,wheeze)を聴取することがある.特に乳幼児はウイルス感染に伴って喘鳴を繰り返す場合があり,喘息との鑑別が重要である.
RSV,hMPV,インフルエンザによる気管支炎では急激に呼吸状態が悪化する場合があり,呼吸数の増加や陥没呼吸など呼吸努力がみられたら入院治療を考慮する.
急性気管支炎に罹患後気道の過敏性が残存して咳嗽
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