●病態
・マイコプラズマは感染細胞内に過酸化水素などの活性酸素を過剰に蓄積させて呼吸器粘膜を損傷することにより,咳を誘発する以外には直接的な細胞傷害性をもたず,肺炎の発症機構は宿主の免疫応答を介した「免疫発症」である.したがって基本的には7~10日程度で自然治癒する.
・近年,マクロライド耐性菌の増加が危惧されているが,2012年頃をピークに耐性率は着実に低下しつつあることが複数の調査により示されており,2019年現在,一次医療機関における耐性率は15%以下と推定される.
・至近距離における激しい咳により飛沫に乗った菌体が相手側の下気道の繊毛上皮まで到達することにより感染が成立するので,飛沫感染に対する標準的予防策が有効である.
・ヒトには繰り返し感染するため既感染による抗体保有者が存在することから,単一血清による診断には限界があり,確定診断のためには少なくとも4日程度の間隔をあけて得たペア血清により抗体価の変動を観察する必要がある.このため急性期における診断には遺伝子あるいは抗原診断が推奨される.近年上市されたQプローブ法により,薬剤感受性も判定可能である.
・診断・治療の基本的な考え方は,日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会による「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017」および日本マイコプラズマ学会による「肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針」に示されている.
●治療方針
A.初期治療
マクロライド耐性菌が多く存在したのは2012年頃までであり,近年の流行の主体は感性菌である.したがって治療の第1選択はあくまでもマクロライド系抗菌薬であり,なかでも耐性変異を誘導しにくいと考えられるクラリスロマイシン(クラリス,クラリシッド)が推奨される.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
(体重27kg未満の場合)
➊クラリス薬ドライシロップ小児用 1回7.5mg/kg(成分量として) 1日2
関連リンク
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