●病態
・肺炎とは,病原微生物に感染することにより,肺の実質に急性炎症を生じた状態である.細菌性肺炎(定型肺炎),非定型肺炎,ウイルス性,肺真菌症などに分類され,咳嗽や喀痰,発熱などを呈し,重症では呼吸不全,ショックに至ることもある.
・細菌性肺炎には,血行性に伝播する(菌血症を伴う)肺炎と局所感染(菌血症を伴わない)としての肺炎とがある.菌血症を伴う肺炎はごく限られており,ほとんどの症例は局所感染としての肺炎である.これは経気道的に伝播され発症する.
・わが国において血行性に伝播する(菌血症を伴う)肺炎の頻度は低い.
・年齢によって原因微生物が異なる.
a)新生児期:B群溶連菌や大腸菌などのグラム陰性桿菌が多い
b)新生児期以降~5歳:インフルエンザ菌,肺炎球菌など一般細菌によるものはこの年齢層に多い.ライノウイルス,RSウイルス,ヒトメタニューモウイルスなどのウイルスによるものも多い
c)6歳以上:Mycoplasma pneumoniaeなどの非定型菌による肺炎が多くなる
●治療方針
A.入院か外来か
市中肺炎例の入院目安として,①年齢(1歳未満),②重症度分類(表1図)で中等症以上,③基礎疾患あり,④脱水症状あり,⑤治療薬の内服困難,⑥経口抗菌薬治療で改善なし,⑦合併症(胸水貯留・膿胸)の7項目があげられている(「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017」より).これらを参考に入院を決定するが,軽症でも主治医が入院を必要と考えた場合も適応になりうる(表1図).
B.細菌性かウイルス性かの鑑別
臨床症状,理学的所見,入院時検査所見などで総合的に判断するが,確固たるものはなく個々の症例で経過も加味して判断する.
1歳以上で多呼吸がある場合は,細菌性肺炎を考慮して抗菌薬療法を開始する.1歳未満ではRSウイルス感染に伴い多呼吸を呈する場合が少なからずある.
また,発熱が数日続き,湿性咳嗽
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