先天性喘鳴は,生後数週間以内に吸気性喘鳴をきたす疾患の総称である.
●病態
・呼吸運動により生理的に胸腔外の上気道は吸気時に狭くなり,胸腔内の下気道は呼気時に狭くなる.したがって胸腔外の上気道の狭窄では吸気性喘鳴が聴取される.
・胸腔内外の移行部付近(気管分岐付近)までの狭窄では,吸気・呼気の往復性喘鳴がみられる場合がある.
・出生直後~2週間で症状が出現することが多いが,1~2か月たって換気量の増加に伴い症状が明らかとなる場合もある.
A.気道狭窄の分類
・気道狭窄は固定性狭窄,変動性狭窄,流動性狭窄に分類される.
a)固定性狭窄:声門下狭窄や気管狭窄などにより喘鳴を常に聴取する
b)変動性狭窄:喉頭軟化症や気管軟化症,啼泣時声門外転不全などのように,呼吸の仕方や体位などに喘鳴が影響される
c)流動性狭窄:気道分泌物や唾液による気道の狭窄で,呼気と吸気に往復性喘鳴を聴取することが多い