治療のポイント
・原因の検索と除去が重要である.胃炎の診断と原因の検索において,上部消化管内視鏡検査は有用である.
・急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)の初発症状は,急性腹症様の強い上腹部痛に消化管出血を伴う.急性腹症の鑑別診断を進め,出血性ショックの有無を適切に評価する.
・穿孔や出血性ショックを示唆する所見がなく,腹部エコーなど非侵襲的な画像検査で前庭部優位の胃粘膜の肥厚を認める症例は,本症を第一に考える.
・通常は酸分泌抑制薬が著効する.
●病態
・胃炎とは,胃粘膜に炎症細胞浸潤をきたす病態であり,臨床経過から慢性胃炎と急性胃炎に区別される.小児期の慢性胃炎の代表的な疾患がHelicobacter pylori(H.pylori)感染胃炎である.
・急性胃炎は感染などの病因の曝露に加え,粘膜の血流障害や防御機構の破綻が関与し,急激に症状を呈する.
・原因として,感染(H.pylori,サイトメガロウイルス,EBウイルス,単純ヘルペスウイルスなど),薬剤(アスピリン,NSAIDs),ストレス,アルコール,アニサキス,腐食性物質誤飲などが代表的なものである.
・AGMLは,胃前庭部優位の粘膜の浮腫,びらん,発赤,出血,不整形の浅い潰瘍が多発する特徴的な急性胃炎である.H.pyloriの初感染をはじめとする感染症,薬剤,ストレスなどが誘因となる.
・通常,急性胃炎の症状は突然の強い心窩部痛,悪心・嘔吐,吐血である.AGMLでは,コーヒー残渣様の黒色の嘔吐が特徴的である.
・身体所見では上腹部の圧痛を認める.
・腹部エコー検査では胃粘膜の浮腫を認める.急性膵炎,胆石症,十二指腸潰瘍,虫垂炎などの鑑別を行う.
・上部消化管内視鏡検査では粘膜の浮腫,びらん・潰瘍,発赤,出血の所見を認める.病理組織検査は,炎症性細胞浸潤からなる胃炎の確定診断が可能である.ま
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