診療支援
治療

徐脈性不整脈
bradyarrhythmia
芳本 潤
(静岡県立こども病院循環器科・医長)

●病態

・心拍数は身体の需要に応じてコントロールされる.心拍数の正常下限については個人差が大きいため一概にいえないが,一般的には2歳未満は100/分未満,3~5歳は60/分未満,6~11歳は45/分未満,12~18歳は40/分未満とされている.交感神経と副交感神経からなる自律神経からの入力やアドレナリンなどの液性因子によって,絶えず増加・減少を起こしている.

・心臓のなかでは洞結節が全体の心拍数をコントロールし電気興奮を起こし,右心房と左心房に伝導する.その後に房室結節を経て右心室と左心室に興奮が伝導する.したがって徐脈となる.

・要因としては以下があげられる.

 a)自律神経からの交感神経入力の減少あるいは受容体の低下

 b)副交感神経の過緊張

 c)洞結節の機能不全(洞性徐脈・洞停止)

 d)房室結節の機能不全(房室ブロック)

・その病因としては以下があげられる.

 a)遺伝性疾患に伴うもの(QT延長症候群・進行性伝導障害など)

 b)先天性心疾患によるもの(多脾症候群,修正大血管転位など)

 c)外科手術侵襲によるもの

 d)自律神経障害(反射性失神など)

 e)炎症によるもの(心筋炎・自己免疫性疾患など)

 f)その他

・徐脈による症状としては失神,めまい,運動耐容能低下,成長障害などがあり,これらの症状を有する場合には病因に応じて適切な治療が必要である.逆に徐脈と判定されてもまったく症状を有さない場合も多く,経過観察のみでよいこともある.

●治療方針

 徐脈性不整脈の治療方針を決めるうえでは,心拍数の異常とともに症状の有無が重要である.心拍数が前述の下限を下回るもの,あるいは心拍停止が5秒以上ある場合には徐脈と判断される.そしてその症状が徐脈によって引き起こされていることを証明し,徐脈の機序に応じた治療を行うことになる.

 検査としては12誘導心電図,ホルター心電図,トレッドミル負荷試験,イベントレ

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