●病態
・再生不良性貧血は,末梢血での3系統すべての血球減少(汎血球減少)と骨髄の細胞密度低下(低形成)を特徴とする造血障害である.
・汎血球減少を呈する疾患には,急性白血病,ウイルス感染症,先天性造血不全症候群など数多くあるため,慎重な診断が必要である.
・明確な原因が明らかなほかの疾患を除外することによって,初めて再生不良性貧血と診断することができる.
・一部の症例では,肝炎が先行することが知られており,肝炎後再生不良性貧血とよばれる.
・多くの症例では発症原因は特定されず,特発性再生不良性貧血とよばれる.造血幹細胞に対する自己免疫反応が疾患の本態であると考えられている.
●治療方針
A.鑑別診断
第一にほかの疾患がないことを確認して,再生不良性貧血の診断を確実にする.ウイルス感染症などによる汎血球減少との鑑別は時に困難であり,ほかの鑑別診断に必要な検査を行いながら,一過性ではなく持続的な造血不全であることを慎重に確認する必要がある.
小児不応性血球減少症(RCC:refractory cytopenia of childhood)など,骨髄低形成型の骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndrome)との鑑別は時に困難である.また,末梢血中に芽球が出現していない急性リンパ性白血病が再生不良性貧血と誤診されることがある.骨髄スメアのみでなく,骨髄生検検体を用いた病理組織の評価がこれらの疾患との鑑別に有用である.
Fanconi貧血をはじめとした先天性造血不全症候群も,とりわけ小児例の再生不良性貧血患者においては重要な鑑別疾患である.各疾患に特徴的な身体所見がほとんどみられず,スクリーニング検査を行わなければ診断することが不可能な症例が存在する.染色体脆弱性試験を行いFanconi貧血の除外とテロメア長測定を行い先天性角化不全症の除外を行う.また網羅的遺伝子解析
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