診療支援
治療

免疫性血小板減少性紫斑病
immune thrombocytopenic purpura(ITP)
笹原洋二
(東北大学大学院小児病態学・准教授)

●病態

・免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)は自己免疫学的機序による血小板減少症である.血小板数は10万/μL以下で,ほかの血球異常を認めない.

・「小児特発性血小板減少性紫斑病―診断・治療・管理ガイドライン」が,わが国では専門家の意見に基づいて提唱されている.

・骨髄検査は必須ではないが,副腎皮質ステロイド投与時は実施する.巨核球数は正常か増加する.

・確定診断法にGPⅡb/Ⅲa抗体産生B細胞数定量(保険適用外)がある.

・急性ITP(6か月以内に治癒)と慢性ITP(6か月以上持続)があるが,国際標準化基準として新規診断ITP(3か月以内),持続性ITP(3~12か月持続),慢性ITP(12か月以上持続)に分類される.

・遺伝子異常を伴う先天性血小板減少症との鑑別が重要である.

●治療方針

 新規診断ITPか慢性ITPか,出血症状の有無と重症度,血小板数により,ガイドラインにて提唱されている治療法を選択する.

A.新規診断ITP

1.無症状あるいは広範でない紫斑のみの場合

a.血小板数1万/μL未満‍ 

Px処方例 通常,➊経口副腎皮質ステロイド(ACS),あるいは➋経静脈免疫グロブリン(IVIG)投与を行う.

 (ACS)

➊プレドニン錠(5mg)またはプレドニゾロン散(1%) 1日1~2mg/kg(成分量として)(最大量60mg) 1日2~3回に分けて 食後 7~14日間 1週間かけて漸減中止

 (IVIG)

➋献血ヴェノグロブリンIH注 1回1g/kg 6時間以上かけて点滴静注.Fc intact γグロブリン製剤である.急性輸液反応(infusion reaction)に注意し,最初は投与速度を遅くして開始

b.血小板数1万~2万/μL 通常用量ACS,IVIG,無治療観察から症例に応じて選択する.

c.血小板数2万/μL以上 無治療観察を原則とする.

2.広範な紫斑あるいは粘膜出血を認める場合

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