診療支援
治療

血栓性血小板減少性紫斑病
thrombotic thrombocytopenic purpura(TTP)
松本雅則
(奈良県立医科大学輸血部・教授)

●病態

・古典的5徴候(血小板減少,溶血性貧血,腎障害,発熱,動揺性精神神経症状)で知られている.

・原因不明の2徴候(血小板減少,溶血性貧血)を認めた場合には,TTPを疑うことが重要である.

・上記の2徴候に加え,ADAMTS13活性が10%未満であることで診断される.ADAMTS13活性とインヒビター検査が2018年4月から保険適用となった.

・先天性〔アップショー・シュールマン症候群(USS:Upshaw-Schulman syndrome)〕と後天性の2種類が存在するが,ほとんどの症例が後天性である.

・USSはADAMTS13遺伝子の異常で,後天性はIgG型の自己抗体(インヒビター)が産生されることによってADAMTS13活性が著減する.

・USSには新生児期に発症する典型的なものと,妊娠などに伴って成人後に診断される症例があり,後天性TTPとの鑑別が必要である.

・後天性は海外では30~40歳代の成人女性に多いと報告されているが,国内では60歳以上の高齢者が多い.一方で後天性でも15歳未満の小児例も存在し,1歳未満の症例も報告されていることより,USSとの鑑別が重要である.

・診療ガイドラインとして「血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド2017」が発表されたが,小児に対する記載は少ない.

●治療方針

 現状ではADAMTS13の補充は,新鮮凍結血漿(FFP:fresh frozen plasma)のみで可能であり,血漿療法が唯一の治療法である.特に後天性の場合は,早期に血漿交換を開始することが予後改善につながることが報告されている.

A.USS(先天性TTP)

 USSではADAMTS13自己抗体が存在しないため,FFPの輸注のみで治療が可能である.典型的な症例では予防的に定期的なFFP輸注を継続しているが,TTP発作時のみに輸注を受けている症例も約半数で存在する.

Px処方例

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